純喫茶ぎふまふ奇譚 講評いただきました。
たぶん、連絡したら自費出版のお誘いを受けることになるんですけど、作品を読んでもらって、こんなふうに言ってもらえるのはうれしい。
『純喫茶ぎふまふ奇譚』作品講評 「ぎふまふ」という一度聞いたら忘れない言葉が印象的なファンタスティックなタイトルや 「魔法のランプのようなケトル」や「マジックショーみたい」に作る薬膳カレーなど幻想的な調理描写が読者の関心を惹く一作であった。
主人公・伊藤山翔がかつて通っていた塾の建物を改築した純喫茶ぎふまふを舞台に、人情溢れ る日々が広島弁の軽快さでテンポよく展開される。とくに彼がその店の美人店主・君島三佐子と の出会いを機に、行方不明中の弟の知られざる事実にじわじわと迫っていく過程は読者の胸を弾ませるに違いない。
そして実は元薬剤師の彼女はメンタルの不調で休職中であることを母に 言えず思い悩む山翔に「うつ病刑事(でか)じゃね」と快活な広島弁でラフに返す。
さらに「夢」の中で彼女が発した「躊躇いは誰にでもありますよ」という言葉は、実際に心の病に悩む読者を救うだろう。 また 204 頁の登場人物紹介は勢良様の読み手への想いが表れており、料理名をコンセプトに した特徴ある目次は読者の好奇心をくすぐる効果があろう。構成の観点から見ても非常に優れ た一作であった。
しかし随所に挟み込まれるかつての塾長や亡き弟が登場する「夢」の SF的描写やカタカナの呪文の羅列のシーンは、自身の痛みと重ね親近感を抱きながら読み進めていた 読者に戸惑いを与える恐れがある。改善策として、「夢」のシーンだけ特徴あるフォントを採用 したりページ自体のデザインを変えたりしてみてはどうだろうか。 現代、良くも悪くも心理面の 違和感が病名として明るみに出る。
そのため、そうした書籍を目にする機会は度々あるが勢良様 の作品は純喫茶を舞台にするという古風ながら未来的な要素を含めたユニークな世界観を描い ており、確実に一線を画している。
だからこそ一人でも多くの読者の手に渡るよう、是非とも弊 社一同サポートさせていただきたい。 弊社は一流作家や著名人が使用するのと同じ“幻冬舎”の流通網によって、大型書店を中心とし た全国約 4,000 店の特約店に対する流通を行っている。本としての内容もそうだが、装丁デザ インや見せ方、売り方といったトータルで、幻冬舎グループとして提案をさせていただけると、 大きな反響が得られるだろう。市場に流通する出版物を制作していくにあたり、今後読者目線に立った提案を若干、弊社担当編集よりさせていただくことになるが、そのあたりは編集担当者と 共に推敲を重ねることで、さらに作品を磨き上げていってほしい。 (以上、多少の参考にしていただければ幸いです。)
0コメント